同僚をネット批判の市議に辞職勧告決議
埼玉県日高市議会
本田雅和|2020年10月16日4:47PM
【「こんな人いらない」と長老】
昨年の問責決議案、今回の議員辞職勧告決議案とも提案者は当選7回の長老、吉本新司議員(75歳)。自宅で経営する居酒屋を記者が訪ねると、「少々酒が入っている」としながらも「飲んでなくても言うことは同じ」と本音を語った。
「俺が侮辱された『隣の議員』。予算書を開こうが開くまいが大きなお世話」としたうえで、予算書も含めふだんから勉強して読んで頭に入っていることを説明。「彼女の発信は市議会全員協議会で決めたソーシャルメディア・ガイドラインに違反する。女は女らしくかわいらしく、みんなと合わせてくるのならわかるが……」と語り、4日後の記者の再訪問時にも「本当の話だ」と発言内容を再確認してくれた。吉本議員は田中議員の辞職勧告決議案への質疑に対する答弁でも「こんな人は日高市にはいらない」とまで言いきっている。
議会多数派の中にも「吉本議員の意見が議会を代表しているわけではない」と指摘する人は少なくないが、決議採決では退席2人、反対2人、賛成10人。田中議員のネット発信の中の「日本全国探してもこんな決算特別委はない」などの表現を多くの議員が「品位に欠ける」と非難するが、記者の取材に「事実に基づかない記述」を明確に示せた議員はいなかった。
山田一繁議長は全国各地の女性議員からの抗議申し入れに「本決議案は適正に提出され、適正な手続きを経て採決し……法的に瑕疵がなく、問題ない」と回答したが、そもそも採決にあたって当事者である田中議員に反論・弁明の機会さえ一切与えていない。このことも含め、法治主義における適正手続きのあり方としては、「瑕疵がない」とは言えないのではないか。
(本田雅和・編集部、2020年10月2日号)