日本学術会議問題、約600団体が菅政権に反対声明
片岡伸行|2020年11月10日6:33PM
憲法や法律の解釈を勝手に変える、都合の悪いことは説明しないといった前政権の「悪しき前例」をきちんと継承している菅義偉首相に批判の声が高まっている。
日本学術会議が法に則り推薦した6人の任命を菅首相が任命拒否しながら、その理由を示さないことに対し、安倍政権時の「戦争法案」強行採決(2015年9月)を機に発足した「安全保障関連法に反対する学者の会」は10月14日、抗議声明を出し、〈民主主義と立憲主義を破壊する違法行為〉と断じた。声明では、(1)6人が任命見送りになった経過と理由を明らかにすること(2)任命見送りを撤回して速やかに任命すること――の2点を求めている。
同日は、憲法研究者有志も東京・永田町の衆議院第二議員会館内で会見を開き、前記と同様の2点を求める声明を、138人の賛同者名とともに発表した。声明では、学術会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」と明記されている日本学術会議法7条2項は学問の自由を保障する憲法23条の裏付けをもった条項であるとし、その〈解釈を実質的に変更することは、憲法秩序や法的安定性という点からも問題〉と指摘。〈「法に基づいて適切に対応した」と繰り返しても、説明責任を果たしたとは言えません。どのような「法」をどう解釈して「対応した」のか分かりませんし、「適切」であるかどうかを判断するのは、主権者である私たちです〉と任命拒否理由の説明を求めた。
その前日(10月13日)には参議院議員会館内で、宗派を超えた宗教者が任命拒否の「即時撤回」を求める「宗教者共同声明」を発表。声明では〈「学問の自由」の侵害を許すことがまた「信教の自由」の侵害にも及ぶという危機感を抱きます〉とし、〈この自由が専制的な力によってゆがめられるとき、民主主義の根幹が崩れ、社会から批評的精神が失われ、全体主義がはびこり、最後には社会と国家の危機を乗り越える道をも見失う〉と警告。声明には仏教、カトリック、プロテスタントなどの有志計73人が名を連ねた。