調布の道路陥没で周辺住民怒り
「外環道工事を中止せよ」
丸山重威|2020年11月17日12:04PM
【国は事故原因に沈黙】
10月28日、東京地裁で開かれた外環道工事の中止を求める仮処分審尋では、原告側は中止の理由としてこれまで挙げてきた酸欠空気の漏出に加え、陥没事故や振動を理由に加えた。これに対し国と事業者は「別の申し立てにすべきだ」と主張したが、さすがに裁判長は合議の結果、一緒に審議することを認めた。国と事業者は「調査中」を理由に事故原因についてさえ答えず、住民たちを納得させるものはなかった。
憲法違反と工事の危険を訴えている原告団と弁護団は審尋後の記者会見で「調布市の外環道工事現場直上の道路宅地陥没事故に関する声明」を発表。「民主主義国家には、一人の国民の命と健康と暮らしを壊して成り立つ『公共事業』など断じてありえません」と訴え、国と東京都、前記NEXCO2社に外環道事業の中止と、同事業の根拠となる大深度法の廃止を求めた。
国や事業者側は事故現場周辺でボーリング調査を始めている。だが、すでに述べた通り、今回の現場周辺に限らず、マシンが地下を通過した後のコース周辺では陥没に至らなくとも川に酸欠気泡が上がったり、微振動が出るなどの現象がみられている。今後マシンが進む先はもちろん、これまで通過してきたコースの地下も調べる必要があろう。周辺の住民や地権者には自分の土地の大深度地下をトンネルが通ると知らない人も多い。法と制度の破綻は明らかだ。
(丸山重威・ジャーナリスト、2020年11月6日号)