「核のごみ」処分場めぐる住民投票案否決
北海道寿都町
横田一|2020年11月30日5:03PM
原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定プロセスの文献調査に応募した北海道寿都町は11月13日、臨時町議会で応募の是非を問う住民投票条例案を採決した。賛成と反対が4対4と同数だったが、小西正尚議長が議長決裁で反対、住民投票は実施されないことになった。
片岡春雄町長が文献調査応募を検討していると『北海道新聞』に報じられたのは8月13日。住民説明会では反対意見が噴出したが、町長は「(20億円の交付金が得られる)文献調査で勉強する」「肌感覚で町民の賛成は分かる」などと主張。応募ありきの姿勢が露わになった。水産加工会社社長の吉野寿彦さんと美容師の三木信香さんが共同代表の「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」が9月に結成され、住民投票を求める署名活動を開始。必要な署名数を集め、住民投票条例案が臨時町議会で審議されることになったのだ。
採決前の審議では三木さんが「(町長の)肌感覚ではなく、民意を確認する必要がある」と訴えたが、その思いは届かなかった。吉野さんも否決後、怒りを露わにした。
「議会の中も腐っていたなという思いです。もう町長に訴えたいことはない。訴えても聞く耳を持たないと思うし、まともではない。今後は、リコールに向けて調整していこうと思っています」
片岡町長は否決直後に議場から出た時も、町長室から再び議場に入る時も記者団の問い掛けにまったく答えなかった。私も「否決について一言。(文献調査応募は)地方自治法違反ではないか」と声をかけたが、無言を押し通した。