【タグ】三井不動産レジデンシャル|百条委員会|石川雅己
千代田区長のマンション購入疑惑ますます混迷
百条委員会紛糾
岩本太郎|2020年12月2日3:31PM
東京都千代田区の石川雅己区長(79歳)の「マンション購入疑惑」問題(※8月27日配信記事「千代田区長、マンション購入疑惑で暴走 小池都知事の責任は」参照)が、ますます混迷の度合いを深めている。同区議会は11月12日開催の本会議で、この問題の解明のために設けられた区議会の百条委員会(企画総務委員会)に出席を求めたものの拒否されていた石川区長の妻への刑事告発を要求する議案を賛成多数で可決。翌日開催されたその百条委では、石川区長本人への証人尋問(2回目)が行なわれ、ここでも区長対議会の白熱バトルが展開されたのだ。 この問題は同区内で三井不動産レジデンシャル(都内中央区)が販売した2つのマンションが主要な舞台になっている。一つは石川区長夫妻とその次男が2016年2月に共同購入した同区三番町の、もう一つは14年7月にやはり石川区長夫妻とその長男が共同購入した同区富士見町のマンションだ。前者は建設に際して同区の総合設計制度を利用した容積率の緩和を受けており、その一室が「事業協力者住戸」とされたうえで区長の家族に販売。後者は約1億円で購入されてから約2年半後に約2年半後に約1億7000万円で転売されていた。そうしたことから区長側と業者との間に何らかの癒着関係があったのでは、との疑惑が生じたのだ。
区議会は地方自治法第100条(都道府県や市町村の事務に関する当該自治体の調査権を規定)に基づく百条委員会で石川区長を追及。そこでの証言に偽証があったとして石川区長を刑事告発すると、石川区長は「告発は区長不信任だ」として議会解散を通告。議会も解散通知の執行停止を求めて裁判に訴えた(最終的には東京地裁が執行停止を決定)。なお前述の通り同物件購入には区長の妻の関与も指摘されたため百条委出席が要請されている。
【「私は利害関係者にあらず」】
そんな混乱状況が依然続く中で13日(金)午前に開かれた百条委。石川区長本人に対する、約2時間の証人尋問は予想通り紛糾した。委員長を務めた早尾恭一議員ほか百条委のメンバーは、三井不動産レジデンシャルに調査を行なって得られた回答などをもとに、一般の購入者なら得られるわけもない情報をなぜ石川区長側が購入前に知り得たかについて何度も質問。しかし区長はいずれも「だいぶ前のことなので、覚えていません」「本人(マンションを購入した息子)の主体的な意思に基づくものですから私が申し上げることはない」とのらりくらり。
逆に「こういうことではないのか」との質問に「推論で言うようなことはやめていただきたい」とかわしたり、あげくには「区長が端的に説明してくれれば今年4~5月時点で終わっていた話。区長はこの問題について利害関係者であったのかなかったのか」(小枝すみ子議員)との質問に、「私は利害関係者だという認識は持っていません」という開き直りの回答をするに及んで、出席議員や傍聴人(私もその1人)も思わずひっくり返りそうになり、議場がざわつく一幕もあった。
だが以前の答弁で区長も、調査に応じた三井不動産レジデンシャル役員も、物件の販売が始まる前、互いにやりとり(区長の名前での資料請求、優先的に区長側が購入できるとの案内など)があったことを認めている。前記の小枝議員は今回の百条委終了後、区長が来年1月の千代田区長選挙への出馬意欲を見せていることに関連して「それまでは自分に手を出せないようにするつもりでしょうか」と筆者の取材に答えてくれた。
早尾議員も終了後の囲み取材で「石川さんが区長選に出馬するということであればそのあたりの配慮は必要になるかもしれませんが、選挙が終わった時点で、また(追及を)やらせていただく選択肢もあるかなと考えています」としつつ、他方で「追加告発も辞さない」という意向も表明した(注:早尾議員は後日、自らが区長選に立候補する意向を表明)。
百条委では「東京ミッドタウン日比谷」の大規模再開発に関わる区長の疑惑も審議の対象になった。今後は司法の動き、前述の区長選挙に向けての展開も絡んで、ますます複雑な様相を呈することになりそうだ。17年2月の当選時には小池百合子都知事が全面支援し、今も小池氏直系と目される区長の疑惑だけに引き続き推移に要注目だ。
(岩本太郎・編集部、2020年11月20日号に加筆・修正)
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