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ネットの差別書き込みに法整備を
市民団体がオンライン集会
片岡伸行|2020年12月11日2:22PM
ヘイトスピーチ解消法施行から4年経つが、ネット上の差別書き込みは放置されたままだ。「デジタル時代の反ヘイト 被害実態とその対策」と題したオンライン集会が11月19日に行なわれ、被害者救済のための法整備などの必要性が提起された。
外国人人権法連絡会、移住者と連帯する全国ネットワーク、人種差別撤廃NGOネットワーク、のりこえねっと、ヒューマンライツナウの5団体が主催。オンラインを含め約150人が参加した。
精神科医で立教大学教授の香山リカさんは「ヘイトスピーチによる被害の医学的、心理学的研究は少ない」とした上で、職場で在日コリアンであることをからかわれ出勤が怖くなり、めまい・吐き気がするようになったなどの実例を紹介。本人の気づかないうちに「抑うつ、身体表現性障害など広範な心身の不調が起きている可能性がある」と指摘し「いかに被害者の心身を蝕むのか、さらなる研究が必要」と述べた。
一般社団法人ひょうご部落解放・人権研究所の北川真児さんは地方自治体によるネットモニタリングの現状を紹介。ヘイト解消法、部落差別解消推進法などが施行された2016年以後、モニタリングを実施する自治体が増え、調査に回答した200団体で15年度から19年度までに計7706件の差別書き込みの削除を依頼し、うち4291件(55・7%)が削除されたことなどを紹介。課題として「モニタリング実施自治体のネットワーク化、国による差別基準の明確化が必要」と強調した。
『神奈川新聞』記者の石橋学さんはネット脅迫事件などの取材を踏まえ「被害の深刻さは理解されていない。差別する自由などなく、差別されない自由こそ保障されなければならない」とし、そのためには「(差別書き込みの)個人の特定は必須で、ネットを含む差別禁止の法律が必要だ」と述べた。
(片岡伸行・記者、2020年11月27日号)