日本学術会議任命拒否の岡田教授、権力の暴走に危機感
本田雅和|2020年12月14日7:08PM
【拒否された学術会議会員候補も会場発言】
菅義偉首相が学術会議の委員任命を拒否した6人の学者の1人である岡田教授は、主催者側の要請で会場から発言した。
「国会での答弁などを聞くと、菅首相はもはや(任命拒否の理由を)説明できなくなっている。任命拒否の違憲違法ははっきりしており、将棋でいえば詰んでいる話。この状態をどうするかが日本社会の課題だ」と問題提起。「政権側はさらに、任命拒否された6人は任命しなくてもいいような悪いヤツだった。反政府の連中だ――などのキャンペーンやスキャンダル探しまで始めているのではないか」との危機感を示した。
また、学術会議問題以前からの「タガが外れたような権力の暴走」例として(1)官僚人事の一元支配による霞が関の抵抗の解体(2)憲法解釈変更のための内閣法制局の破壊(3)公文書の隠蔽、改竄、廃棄(4)地方自治の破壊による中央政府を牽制する自治体の無力化――などを挙げた。
さらに最高裁判事の補充人事でも官邸は、最高裁側が後任候補1人を推薦しても受け付けずに「複数の候補をもってくるように」と指示していたとの新聞報道を取り上げ、政権の「意中の人物」を据えることで「司法権の独立」を侵害してきたとした。
どうすればよいのか。梓澤弁護士は(1)最高裁判事任命諮問委員会を設置して裁判官の経歴・信条を明らかにして公聴会を開く(2)最高裁判事の国民審査から現在排除されている(今年6月、東京高裁で違憲判決)139万人の在外邦人の投票権を認める(3)裁判闘争の中で獲得した知見や判事情報のデータバンクを作り公開する――など判事任免に関する市民参画の拡大を提案。豊氏は「憲法の規定を満たした国会開会要求を無視したり、恣意的な解散をしたりする政権を選挙で交代させること。政権交代が司法を鍛える」と主張した。
(本田雅和・編集部、2020年11月27日号)