いまだ解除されない東京都議会「傍聴中止」の謎
田沢竜次|2020年12月16日6:09PM
新型コロナウイルス感染症拡大を口実にした東京都議会の傍聴中止措置が続いている。この措置は今年の都議会・第1回定例会会期中の2月28日から始まり、関連文書「傍聴中止(2月28日~自粛要請)に関して」に「少なくとも3月15日まで実施を継続予定」とある通り、状況に応じて解除されるはずだった。ちなみに国会は10月から始まった臨時国会での一般傍聴はできるし、周辺自治体の多くも同様だ。なぜ都議会だけ傍聴中止が未だに解除されないのか。
この件に関しては9月11日の都議会議会運営委員会でも日本共産党の和泉なおみ理事が傍聴再開を求め、事務局において検討を進めていくことが了承された。和泉氏は「その後回答はありません。庁舎管理の問題だといっても傍聴は都民の権利ですから、11月30日からの都議会開会までに中止措置の解除をすべきでしょう」と語った。
11月19日に「東京都議会の傍聴中止措置の解除を求める陳情」を提出した「集会・デモくらい自由にやらせろ!実行委」で活動する渥美昌純さんは、東京都の決定は法律違反であり早急に解除すべきだとして陳情に踏み切ったという。
「東京オリンピック開催を名目にイベントの観客制限を緩和しておいて、都議会だけ頑なに一人の傍聴もさせないなんて非常識そのものですよ。そもそも地方自治体の議会は公開が原則であり傍聴のない秘密会を開催するには所定の手続きがあるのです。都議会の行為は地方自治法にも反しています」
渥美さんの指摘は市民感覚としても真っ当なものだが、共産党以外の各会派、都政記者クラブなどの主要メディアの反応は鈍い。一方で11月30日からの都議会には都民ファーストの会から行政罰付きの「東京都新型コロナウイルス感染症対策強化に関する特別措置条例」提出の動きもある。直接傍聴することで問題点と論議を見届けたい。
(田沢竜次・フリーライター、2020年11月27日号)