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「あいち2022」新監督が就任記者会見 
なお残る「分断」の克服を

井澤宏明|2020年12月23日5:57PM

芸術祭組織委の大林剛郎会長(左)と握手する新芸術監督の片岡真美氏。(撮影/井澤宏明)

昨年、企画展「表現の不自由展・その後」に抗議が殺到して激しい論争を呼んだ国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」。2022年に開かれる次回の芸術監督が森美術館館長で愛知県出身の片岡真実氏(55歳)に決まり11月17日、名古屋市内で記者会見が開かれた。

5回目を迎える同芸術祭初の女性監督となる片岡氏は今年1月、森美術館館長に就任したばかり。光州ビエンナーレ(12年)共同芸術監督やシドニー・ビエンナーレ(18年)芸術監督など国際芸術祭の経験も豊富で、国際美術館会議(CIMAM)会長も務める。

片岡氏は就任会見で「世界がコロナによる健康危機に直面する中、芸術は我々にとって必要不可欠か不要不急かという問いに直面しているが、先の見えない不確実な時代にこそ芸術は力を発揮する。精神や思考の糧となる」と強調。

不自由展の件にも触れ「議論はほぼ出尽くしたと思う。今やるべきことは、そこで学んだことをいかに活かすかということだけ。何らかの分断が未だに残っているとすれば、溝を埋めていく方法を考える時期」と力強い口調で述べた。

監督を引き受けた理由を問われると「昨年起きたことに少なからず心を痛めていたので、ホームタウン(古里)で何か新しいことができるのであれば」と答えた。

不自由展を巡っては、大村秀章知事のリコール署名が8月から行なわれてきたが、高須クリニック院長の高須克弥氏が11月7日、体調悪化を理由に「休戦」を発表。県選挙管理委員会によると、提出されたのは43万5231筆で、必要な86万6586筆に達しなかったため審査は行なわれなかった。

河村たかし名古屋市長が一部不払いを決めた芸術祭の市負担金についても係争中で、大村知事と河村市長の「分断」は続いている。

会見では、次回の正式名称を「国際芸術祭『あいち2022』」とすることも発表された。

(井澤宏明・ジャーナリスト、2020年12月4日号)

 

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