沖縄戦激戦地の土砂を米軍新基地建設に?
宗教者が計画撤回求める
本田雅和|2021年1月12日6:36PM
【すでに始まった採石準備】
地元で38年間、遺骨の収集と遺族に返す活動を続けてきたボランティア団体「ガマフヤー(遺骨を掘る人)」の具志堅隆松代表(66歳・那覇市在住)は取材に対し、「私たちが継続して発掘作業を続けてきた森に先日行ってみたら、周りの木々がすっかり伐採されて採石場になっていた。防衛省が新たに採石候補地に指定した南部ではこんなところが何カ所もある」と憤る。
県も糸満市米須の採石場で戦没者の遺骨と見られる複数人分の指やあご、歯の骨を確認して収容したことを明らかにし、「来年度の鑑定にまわす予定だ」という。
こうした実態について沖縄防衛局報道室は「南部からの土砂採取計画はあくまでまだ県への承認申請中であり、具体的な採石場も含めて何も決まっていない。変更計画にある採石量も、県内の各採石場に可能な供出量をアンケートで尋ね、糸満市などでの採取可能量を集計したにすぎない。樹木の伐採などについては業者の行為なのでこちらでは把握しておらず業者に聞いてほしい」との回答だった。
糸満市で今年9月の施業案認可を取り、採石のために森を伐採した鉱山会社に3日間、朝昼晩と電話し続けたが応答はなかった。
菅義偉政権も防衛省も、沖縄戦の歴史を認識することなく、机上で採石計画の図面を引いたのだろうか。
(本田雅和・編集部、2020年12月18日号)