障害者への「欠格条項」含む法令の急増に市民団体が警鐘
岩崎眞美子|2021年1月12日6:53PM
【19年の法改正で生じた問題点】
「『心身の故障』という条項は19年に成年後見制度に関する欠格条項が削除された際、入れ替わるように導入されました。精神障害や知的障害のある人を欠格条項の対象にどうしても入れておこうという力が働いたのではないか」(同会の臼井久実子さん)
成年後見制度利用者に対する絶対的欠格条項が削除されたのは大きな前進だったが、一方で「心身の故障」というはるかに範囲の広い欠格条項が追記されたことで、逆に精神障害や知的障害などの障害は「隠したほうが不利益を被らずに済む」と人々に思わせる影響が生まれた。これが「隠して生きるという困難を当事者に強いる社会」を生むと同会の瀬山紀子さんは指摘する。
自身も聴覚障害を持つ臼井さんは「医者になりたいが、法律のためになれないのですか?」という、耳が聞こえない高校生からの手紙がきっかけでこの問題に取り組んだ。
「障害のある人は何かをしたいと思っても周囲から否定されることが多く、将来を制限されがち。法律の障壁に希望を阻まれることがない社会にしたい」(臼井さん)
要請アピールは100を超える団体・個人の賛同で確定し内閣総理大臣、各政党、国会議員などに提出された。同会では今後も(1)法令の新設や改定時に欠格条項を増大させない(2)01年欠格条項一括見直し法の附則に明記された法施行後の見直しに着手する(3)代理後見から支援つき自己決定への転換に着手する、の要請3項目を掲げ、障害者権利条約の履行を国に促していく予定だ。
(岩崎眞美子・ライター、2020年12月18日号)