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加計学園裁判「仮想尋問」を証拠採用、結審へ 
「前川証言」、国は反論せず

片岡伸行|2021年1月13日3:32PM

「仮想尋問」で証言をする前川喜平元文科事務次官(右端)。(撮影/片岡伸行)

あえて反論しなかったのか、できなかったのか……。加計学園の獣医学部新設をめぐる行政文書不開示決定処分取り消しを求める行政訴訟の第8回口頭弁論が12月3日、東京地裁で開かれ、原告側から提出された前川喜平元文部科学事務次官の「仮想尋問」証言に対し、国(文部科学省)側はその信用性を争わない意向を示した。

安倍晋三首相当時の2017年に「総理のご意向」文書などが発覚。「『腹心の友』に便宜を図ったのではないか」との私物化疑惑が解明されないまま同獣医学部(愛媛県今治市)は同年11月に文科省の認可を受けた。同年1月まで文科事務次官を務めた前川さんは辞職後の同年5月に会見し「公平・公正であるべき行政のあり方が歪められた」と批判していた。

同訴訟では、その前川さんの証人尋問を申請したが却下されたため、原告側が裁判官を忌避。独自に「仮想尋問」を実施(11月24日)し、その証言記録を証拠として提出した。前川さんは仮想尋問の中で16年8月26日に当時の内閣官房参与で加計学園理事でもあった木曽功千葉科学大学学長から、同年9月には和泉洋人総理大臣補佐官からそれぞれ「手続きを早く進めてほしい」と要求された経緯を述べ、「当時の文科省内部では申請を認めない方向だった。官邸からの働きかけがなければ(獣医学部新設は)実現しなかった」と証言。また、原告が開示請求した獣医学部新設に関わる加計学園理事会の議事録を文科省が全面不開示にしたことについて「私が現役のときはこういうことはない。プライバシーなど一部不開示はありえても、全体を不開示とするのは考えられない」などと述べた。

第8回口頭弁論で市原義孝裁判長はこの証言記録を証拠採用。信用性を争うのかと問われた国側は「あとは裁判所の判断で」などと述べ、反論を放棄した。裁判は来年1月21日に結審の予定だ。

(片岡伸行・記者、2020年12月18日号)

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