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第五次男女共同参画基本計画
「選択的夫婦別姓」入らず

宮本有紀|2021年1月14日11:55PM

政府は2020年12月25日、21年度から5年間実施する「第五次男女共同参画基本計画」を閣議決定した。
計画案についての意見公募(パブリックコメント)に寄せられた若い世代からの声を重視し、緊急避妊薬を処方箋なしで薬局販売することの検討や就職活動中の学生へのハラスメント調査を盛り込むなど評価できる部分もある。しかし03年から掲げる「社会のあらゆる分野において指導的地位に女性が占める割合を2020年までに少なくとも30%に」という目標は達成できず「20年代の可能な限り早期に30%程度」と先送り。特に女性割合の少なさが指摘される政治分野では、国政・統一地方選挙で候補者の女性比率を「25年までに35%」とする目標を設定したものの、基本的に「政党の自主的な取り組み」に任せており実効性には疑問がある。

また、一度は盛り込まれた選択的夫婦別姓制度については削除され、文言すら残らなかった(※)。同制度は自民党内で理解が増えてきており橋本聖子男女共同参画担当相も前向きな姿勢を示していたが、高市早苗・山谷えり子両議員ら反対派の声に押された形だ。

2009年11月、民主党政権となり、選択的夫婦別姓実現への期待も高まる中で開かれた院内集会。自民、民主、公明、共産の各党議員が正面に座る。右端は司会する坂本洋子氏。(撮影/宮本有紀)

選択的夫婦別姓を求めて長年この問題に取り組むmネット・民法改正情報ネットワーク理事長の坂本洋子氏は、「2002年と同じ構図。当時も世論や自民党内で賛成派が増え、野田聖子氏が発案して〈例外的に夫婦の別姓を実現させる会〉もできた。笹川堯氏が会長で野中広務氏や古賀誠氏など実力者も顧問に名を連ね、議論を積み重ねた。実現できるのではと期待したが、議論に参加していない反対派の議員らが最後にひっくり返した」と指摘。「2015年の別姓訴訟最高裁判決で、立法で解決するのが望ましいと判断されたが、男女共同参画基本計画に選択的夫婦別姓という文言さえ入れない国会には期待できないことが明らかになったのではないか。立法解決に任せるのではなく、司法が憲法判断をすべきだ」と述べた。現在、選択的夫婦別姓を求める訴訟はに回付されており、新たな憲法判断がされる可能性がある。

15年の判決では多数意見が夫婦同姓規定を「違憲ではない」としたが今回はどうか。多くの人が注目している。

(※)「家族に関する法制の整備等」の中に以下の記載がある。「婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることなどを背景に、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの声など国民の間に様々な意見がある。そのような状況も踏まえた上で、家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。」

(宮本有紀・編集部、21年1月8日号)

 

 

 

 

 

 

 

 

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