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厚労省「生活保護は権利」と告知も課題山積み
コロナ禍生活困窮者の年末年始
大原一城|2021年1月25日2:16PM
【厚労省が異例の告知「生活保護は権利」】
厚労省が積極的に申請を促すトーンの呼びかけは異例だと言える。
文面では相談先として各自治体の福祉事務所を案内。「よくある誤解」として「同居していない親族に相談してからでないと申請できない、ということはありません」「住むところがない人でも申請できます」「持ち家がある人でも申請できます」などと説明している。ツイッターなどSNS上では支援者らも呼びかけに反応。生活保護は権利だとハッシュタグなどでアピールする取り組みも広がった。
生活保護をめぐっては行政側が窓口で申請を受け付けない「水際作戦」の存在や、劣悪な環境の「無料・低額宿泊所」に収容するなどの問題が指摘されている。「生活保護バッシング」の影響で引け目を感じて申請したがらない困窮者も増えていると言われる。そうした中で今回の厚労省の告知はどのような影響をもたらすだろうか。
「緊急アクション」相談会でスタッフを務めた片山薫氏(東京・小金井市議)は「生活保護は行財政改革で削減対象となってきた。案内は不親切で目立たないことがほとんどなので、厚労省が呼びかけたこと自体は評価できる」としつつも、次のような問題を指摘した。
「結局、生活保護を受け付けるのは疲弊した自治体の現場です。ケースワーカーが足りず、職員の分業化や非正規化が進んでいる。もし厚労省が本腰を入れるのなら、まず自治体の人員確保や予算拡充など、環境づくりをすべき。特に(自立した財政基盤があるとされる)地方交付税不交付団体が生活保護費の一部を負担する仕組みも問題だ。国が全額負担すべき。厚労省が実効性のある取り組みをしなければ、『生活保護は権利』は机上の空論に終わるでしょう」
(大原一城・ライター、2021年1月8日号)