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『産経新聞』「押し紙」裁判、原告敗訴 
「押し紙」認めるも責任認めず?

黒薮哲哉|2021年2月1日11:50AM

販売店の一角に積まれた新聞の残紙。(提供/黒薮哲哉)

昨年12月1日に下されたある訴訟の判決が物議を醸している。千葉県船橋市本中山で新聞販売店を経営していた男性が『産経新聞』、『サンケイスポーツ』について、同店販売地域で実際に配達される部数(実配部数)を超える不要な部数の仕入れを強制されたとして2018年7月24日、産経新聞社(以下産経)に対し約2600万円の損害賠償を請求した「押し紙」裁判の判決だ。東京地裁(野村武範裁判長)は原告の元新聞販売店主の請求をすべて棄却した。

筆者は提訴前からこの「押し紙」事件を取材してきた。約2年間にわたった審理の中では産経敗訴も予感させた裁判だったが、終盤になって予期せぬ事態が起こった。

まず一つは結審直前になって、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言で東京地裁の大半の期日が取り消されている間に、最高裁事務局が裁判長を交代させた。前裁判長は、産経に対して解決金を払って和解することを提案していた。つまり判決が下された場合、元店主の請求がある程度認められる公算が濃厚になっていたのだ。産経は和解の提案を拒否。元店主も提案された解決金額が少なかったこともあり判決を希望した。裁判は元店主勝訴の流れにあった。

ところが裁判長が交代した後、産経は上申書を提出した。その用件は、緊急事態宣言を受けて取り消された裁判期日を早急に再設定するように求めるものだった。しかし「本件訴訟につき悪質な記事がインターネットで配信されていることが発覚」したとして、記事を配信した筆者(黒薮)と、その発表媒体『メディア黒書』を批判する内容が大半を占めていた。「原告有利に事実が歪曲」されている、などと述べている。この上申書を受けて野村裁判長はただちに新しい期日を9月8日に決め、その日に裁判を結審した。そして原告敗訴の判決を下したのである。

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