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阪神・淡路大震災から26年 神戸市が謳う「復興」の欺瞞

粟野仁雄|2021年2月5日12:10PM

【市が自賛する「復興」の欺瞞】

今回、出口氏が市から「渡せない」と言われたため、情報公開で入手した再開発事業のデータ文書には驚くべき数字がある。再開発事業費は約2280億円。うち約990億円がゼネコンなどへの工事請負費。500億円が地権者からの公有財産購入費。それに次ぐのが「委託費」の約184億円だ。「でたらめな運営をしてきた『新長田まちづくり株式会社』のコンサルタントなどへ流れた税金」と出口氏は説明する。

市の意向を受けた同社は巧みだった。焼け出された商店主らは賃貸は許可されず、大正筋商店街で再開するには2階までの分譲店舗を購入しなくてはならなかった。しかし空き床が埋まらず市は方針転換。賃貸も始め、ただ同然の安価で貸していった。3階から上のマンション住人にはエスカレーターの電気代などの共益費負担はなく、比較的安価なマンションはほぼ満床となり、これをもって市は「賑わいを戻した」とした。

ツケはすべて分譲購入者の店主らに回された。大正筋商店街で営んでいた大衆食堂「七福」が震災で全焼し、9年後に物件を購入して再開した横川昌和さんは「管理費は3倍になり年に45万円、固定資産税は40万。コロナで客も減った。市は大正筋の人口が増えたと言いますが、長田区の人たちを高層ビルに集めただけ。長田区の人口は減っていますよ」と苦笑する。

神戸市は「賑わいを取り戻す」の名目で、空き床が十分使えたにもかかわらず豪勢な豪華な新庁舎を約80億円かけて建設した。批判を新たなゼネコンへの利益誘導に利用するだけだ。市は震災後続けてきた復興住宅の独居者への見守りを3月でやめる。それでもコロナ禍で「不要不急の」三宮界隈の再開発を押し進める。神戸市の「箱モノ行政」は不変だ。

出口氏は「25年でセンターを畳もうかと思っていましたが長田区の再開発問題を中心にもう少し、検証を続けたい」と意欲を見せる。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2021年1月22日号)

 

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