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核兵器禁止条約発効を喜ぶ被爆地・長崎 
「核なき世界」への思い新たに

西岡由香|2021年2月22日7:53PM

【核廃絶に向け「鐘を鳴らそう」】

続いて3人の被爆者が発言した。原水爆禁止日本国民会議(原水禁)議長の川野浩一さんは「核禁条約は到達点ではなく出発点。被爆者の平均年齢は84歳近くになった。被爆者が生きている間に条約を実効性あるものにしよう」と訴えた。

2014年8月9日の平和祈念式典で被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた城臺美彌子さんは、「核保有国は世界にたった9カ国。持たない国は180カ国以上」と前置きし「あの狂気じみたトランプ米政権が終わり『核なき世界』を提唱していたオバマ政権のDNAを持つバイデン新大統領が誕生した。まさに希望の朝です」と感激のスピーチ。ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)へ謝辞を述べ、ベアトリス・フィン事務局長の言葉「世界は今、コロナ禍という地球規模の大災害に直面しています。こうしたパンデミックや気候変動など、人類が直面するさまざまな課題に核兵器は何の役にもたちません。核兵器にかかる膨大な資金は医療や医薬品、そして食料などの人類が生きるための資金に使うべきです」を引用。冷戦思考から抜け出せない日本政府に「スガスガしい平和への新しい道を進んではどうですか」と呼びかけた。

爆心地から3・4キロの場所で被爆(当時3歳)、各国に条約参加を促す署名活動を続けてきた田中安次郎さんは、「これからの活動は日本の批准を求めることが目標。バイデン新大統領にも長崎に来てほしい」。孫から「おじいちゃん、良かったね」との電話があり「孫たちが戦争に行くような悲惨な出来事が起こらないよう今後も活動を続けていきたい」と新たな決意を述べた。

参加者たちは76年前の原爆投下時刻の11時2分に黙祷。平和公園内の「長崎の鐘」や浦上天主堂の鐘を鳴らし、世界にある約1万4000発の核兵器をイメージした140個の黄色い風船を萎ませるパフォーマンスを披露した、朝方からの雨が集会に合わせてやんだかのような青空に向けて。

(西岡由香・漫画家+本誌編集部、2021年1月29日号)

 

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