加計学園行政文書不開示取り消し裁判が結審
片岡伸行|2021年2月22日8:17PM
国家戦略特区として愛媛県今治市に獣医学部を新設した学校法人加計学園(加計孝太郎理事長)をめぐる行政文書の不開示が情報公開法に反するかどうかを争ってきた加計学園裁判の第9回口頭弁論が1月21日、東京地裁(市原義孝裁判長)で開かれ、2年4カ月にわたる審理を結審した。
「総理のご意向」による「行政の私物化」疑惑が問題化した2017年。文部科学省が獣医学部の設置認可に関わる校舎の設計図や工事見積書、加計学園理事会の議事録など5点の行政文書を「法人の権利や利益を害する恐れがある」などとしていずれも不開示としたため、東京都内に住む福田圭子さんが18年9月に不開示決定の取り消しを求めて提訴した。
「国を相手取って訴訟を起こすという一市民にとって普通はあり得ないこと」。結審にあたって原告としての思いを述べた福田さんは「公文書管理法で、公文書とは『健全な民主主義を支える国民共有の知的資源』で『主権者である国民が主体的に利用し得るもの』と定められている」とし、全面不開示は「国民を軽視し、民主主義を蔑ろにするもの」「開示されるべきものは開示するという明解な判決を」と裁判長に訴えた。
また、原告代理人の海渡双葉弁護士は意見陳述で「本件開示請求文書が開示されることによって、当時現職の安倍(晋三)前首相の関与に関する新事実が明らかになり、首相に対する批判が高まることなどを危惧」し「忖度した」「違法な不開示」だと指摘。不開示理由は存在しないと強調した。
同訴訟では当時の文科事務次官・前川喜平さんの証人申請を拒否した裁判官を原告側が忌避申し立て。独自に前川さんの「仮想尋問」を実施し、文書の全面不開示は「考えられない」などとする証言記録を証拠として提出。国側はこの証言に反論しなかった。判決は5月18日に言い渡される。
(片岡伸行・記者、2021年1月29日号)