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コロナ対策“法改正”を憲法研究者有志が批判 
「救済ではなく脅し」

片岡伸行|2021年3月1日3:08PM

【「違憲の疑いが強い」】

稲正樹元国際基督教大学教授、飯島滋明名古屋学院大学教授らが事務局となって呼びかけた反対声明は、〈政府がまず行うべきことは、生命や健康で安全な生活を保障する支援や補償であるにもかかわらず(略)罰則を伴う「命令」の脅しで時短や休業を強行させる内容となっている〉とし、これは〈「営業の自由」(憲法22条、29条)や「財産権」(憲法29条)を不当に侵害し、生命や生活の権利を奪いかねない〉と異議を唱える。

感染症法“改正”案の罰則が「修正」されても、〈「罰則」を設ける妥当性の問題は解決されない〉とし、深刻なのは〈医療崩壊によって、入院ができずに自宅療養を強いられ、医療がまったく受けられず自宅で放置されたまま死亡する事例の多発である〉とし、〈罰則を恐れるあまり、感染していること自体や、検査結果を隠す人を増大させる可能性〉があり〈市中感染を抑える効果は期待できない〉と危惧する。

協力に応じない医療機関名を公表することについても、政府がまずやるべきは〈「公表」という制裁〉ではなく、〈医療機関に対する財政的な支援、患者を受け入れることができる医療体制の構築〉だと指摘する。

特措法“改正”案に新設される「まん延防止等重点措置」の発動が〈内閣総理大臣の判断に全面的に委ねられ〉〈国会の事前承認が改正法案に明記されていない点は極めて問題〉で〈行政の民主的統制(憲法66条3項、65条等)とも相容れない〉とする。

また、「まん延防止等重点措置」によって都道府県知事による営業時間変更などの要請・命令、立入検査などができ、正当な理由なく応じない場合は「過料」が科されるが、私権の制限を伴う措置は〈「営業の自由」「財産権」に対する過度の制約であって、違憲の疑いが強い〉と批判する。

総じてこれらの対策は救済措置ではなく〈政府の注意に従わなかった個人や医療機関等に感染責任があるとの発想であり、政府の無策を責任転嫁するものにほかならない〉と批判。〈改正案は成立させるべきではない〉と結ぶ(反対声明の全文は「憲法ネット103」のホームページに掲載)。

“改正”法が成立しても声明で指摘する問題は何一つ解消されず、むしろ新たな問題を生むだろう。実効的な医療・検査体制の整備を怠って医療崩壊を促進させ、「旅行に行こう・食べに行こう」と巨額の税金で「密」と「移動」を促し、軍備にはふんだんにカネをかける一方、「自粛」「時短」をお願いするだけで補償はせず、あげく自分たちの失策を棚に上げて個人や事業者を罰則で縛る。そんな政権が「国民の命と暮らしを守り抜く」ことなどできはしまい。

(片岡伸行・記者、2021年2月5日号)

 

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