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ユナイテッド航空解雇事件裁判
元乗務員が解雇の不当性主張
片岡伸行|2021年3月1日3:15PM
航空会社の合併で「余剰人員」とされ、日本の労働組合(全国一般・全労働者組合)に加入する客室乗務員だけが排除される形で「整理解雇」されたユナイテッド航空解雇事件控訴審の第4回口頭弁論が1月29日、東京高裁(大竹昭彦裁判長)で開かれた。証言に立った控訴人の1人・吉良紀子さんは「私たちから一方的に仕事を奪っておいて、その根拠は『企業秘密』と言って示さない」などと解雇の不当性を訴えた。
「成田・グアム便」を運航するコンチネンタル・ミクロネシア航空の客室乗務員だった吉良さんらは、親会社のコンチネンタル航空とユナイテッド航空の経営統合(2013年に正式合併しユナイテッド航空に)の過程で「グアム路線閉鎖で人員に余剰が出る」として16年5月に解雇された。
吉良さんは証人尋問で「グアム路線はユナイテッド航空に渡したから閉鎖と言われたが、当時からすでに3社の日本支社は一つの事務所を共有し、私たちの給与や社会保険の計算もユナイテッドの経理が担当していた」とし、航空3社が一体であったと証言。また、「米国客室乗務員労働組合(AFA)と会社側との統一労働協約がまとまればユナイテッドの社員になれると言われていた」が、この労働協約ではAFA組合員以外は飛行機に乗務できず、控訴人側はこれを「組合差別だ」と主張。「日本の労働法で判断すべき」との旨の井川志郎・山口大学准教授(労働法)による「意見書」を提出した。
反対尋問で被控訴人代理人は経営実態などには一切触れず「飛ぶことを諦めれば同一年収を維持すると、地上職を提案したはず」などと反論したが、吉良さんは「偽装請負のデタラメな提案だった」と切り返し、解雇回避努力を否定。「客室乗務員は子どもの頃からの夢。不当なことを認めることはできない」と訴えた。裁判は次回(5月31日)で結審の予定だ。
(片岡伸行・記者、2021年2月5日号)
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