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ビルマ(ミャンマー)で一時拘束された邦人ジャーナリストの現地報告

北角裕樹|2021年3月1日6:13PM

夜間の警備にあたる男性たち。2月13日ヤンゴンで。(撮影/北角裕樹)

【デモを歓迎する沿道住民】

こんな中でも市民の抗議活動は整然と行なわれている。デモ隊は争いを避け、警察や国軍との衝突の可能性の高いマハバンドゥーラ公園などを回避して活動の場所を分散させている。できるだけ自宅近くの道路に出て座り込みをしたり、シュプレヒコールをあげたりする「地元活動」も増えている。

デモ隊は、ロープを用意して隊列が乱れないようにしたり、袋を用意してペットボトルやごみを回収するなど、トラブルを起こさないように気を配っている。沿道の住民らは、デモ隊が通りかかると拍手で迎えるほか、弁当や飲料水やゆで卵などを配って抗議活動を支えている。

市民が恐れているのは、先に述べたように釈放された受刑者の犯罪や警察による民主化運動の取り締まり強化、「デモのために治安が悪化した」として、国軍や警察の実力行使の口実になってしまうことだ。実際に1988年の民主化運動の際にも、受刑者が釈放されて治安が悪化。その後国軍が出動し、運動を鎮圧した歴史がある。ヤンゴンの自営業男性は「88年の状況にそっくりだ」と不安を隠せない。デモ参加者や市民の多くは、同じことが繰り返されぬように、細心の注意を払って活動を続けている。

市民らは「非暴力」が武器となることを知っており、公務員らによる「市民の不服従運動(CDM)」などでクーデターに対抗しようとしている。ただ、日中だけではなく夜間も続くプレッシャーに、疲労の色が濃くなっていることも確かだ。

(北角裕樹・ヤンゴン在住ジャーナリスト、2021年2月19日号)

 

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