菅首相長男の総務省接待問題、放送行政は歪められたのか
2021年3月9日6:36PM
ネポティズム。日本語に訳せば、縁故主義。権力者が身内や取り巻きを優遇することをいう。政治腐敗の温床である。菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から総務省幹部が異例の接待を受けていた問題は、安倍晋三・長期政権と続く菅政権が、政権への忖度と縁故主義を霞ヶ関に蔓延させている事実を、改めて浮き彫りにした。「モリ・カケ・桜」と同心円状にある問題だ。国会での虚偽答弁が繰り返される構図も、まったく同じである。
総務省幹部4人と菅首相の長男を交えた「東北新社」幹部の会食は、2月22日までにわかっているだけで2016年から19回に及ぶ。別表をご覧いただければ、お分かりの通り、直近の会合は昨年10月から12月に行なわれ、宴席の最後にはタクシー券と手土産を4人とも受け取っている。
総務省は2月22日の衆院予算委員会理事会に、同日までの調査報告書を提出した。これによると、倫理規程違反の疑いのある会食は4人の幹部を含む計12人でのべ38件。総額は判明しているだけで53万円余り(返却分含む)。このほか元総務審議官の山田真貴子内閣広報官も2019年11月に7万4203円の接待を受けている。