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ジェンダー差別発言ワースト投票結果
1位は杉田水脈議員
宮本有紀|2021年3月20日10:00AM
「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」は3月8日、「ジェンダーに関する問題ある公的発言ワースト投票2021」の結果を発表した。政治家による公的発言の中で問題発言として選ばれた発言についてインターネットでワースト投票を募るもので、 17 年から毎年、年末年始にかけて実施していたが、今年は国際女性デーに合わせて実施。ワースト1位となったのは、杉田水脈氏(衆議院議員)による、女性の性暴力の訴えを虚偽と疑う「女性はいくらでもウソをつく」だった。(候補の発言内容や票数などは表を参照)。
投票呼びかけ人の一人である申琪榮お茶の水女子大学教授は、「杉田議員については、同じ女性で国民を代表する立場なのに情けなく許せない、男性に寄り添って反フェミニストを掲げる女性の多さを感じる、などのコメントがあり、男性社会で認められるためにあえて女性を貶める言動を女性がしてしまうことに日本のジェンダー格差の根深い問題を見て投票をした人が多かったのかもしれない」と分析。政治分野に女性が少ないことの弊害が表れているとして「やはり女性議員を増やす必要がある」と話す。
回答者の属性による違いも見られる。全体では杉田氏が1位だが、セクシュアル・マイノリティ当事者の男性や、性自認を「その他・わからない」とした人たちでは、同性愛者が法律で守られたら「足立区が滅びる」と危機感を煽るような白石正輝氏(足立区議会議員)の発言がワースト1位だった。
また、性自認が女性の場合、森喜朗氏(元首相)や石島茂雄氏(伊東市議会議員)など女性の意思を軽視する発言への投票が他の性自認の人より多く、性自認が男性の場合には、男性へのハラスメントを擁護するような竹下亘氏(衆議院議員)や固定的な性別役割分担を前提とした松井一郎氏(大阪市長)の発言など男性が関わる発言に敏感に反応している。
「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」では、「性自認によって見えている景色が違う」「どのような発言をより深刻な問題としてとらえるのかは属性によって違いがある」と解説し、「ジェンダー平等を考えるにあたっては、多様な人々にとって『見えている景色』は多様である、ということを前提とすることが大切である」とコメントしている。
また、今年は「すべて酷い、1人2票では足りない」という声が特に多かったという。例年、投票者の18%程度が自由記入欄に「すべてに投票したい」とコメントするが、今年はそれが 26 %と増えた。ゆえに同会では「投票されていないから問題がないと思われているのではない」と指摘する。
申氏は「森氏発言は海外からも注目され、五輪スポンサー企業からの批判もあって辞任となったが、日本では珍しい事例。今後も差別発言に厳しい姿勢がとれるかどうかは、社会がどれだけ差別にノーと言えるかにかかっている」と指摘。今後もこのワースト投票は続けるが、「希望は問題発言がなくなり、会を解散すること」と述べた。
(宮本有紀・編集部、2021年3月19日号)