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「聖火リレー」の源流はナチス
独ジャーナリストの怒り
本田雅和|2021年4月12日5:42PM
【三島由紀夫も認めていた】
パラリンピックも含めて近代五輪そのものが、レイシズムや植民地主義、能力差別思想=優生思想と切り離せないと批判する鵜飼哲・一橋大学名誉教授(フランス文学者)は「それでもさすがに64年の前回の東京五輪の際には『聖火リレー』への批判も取り上げられて一定の議論はあった」と指摘する。開会式翌日の『毎日新聞』には三島由紀夫が寄稿し、聖火とリレーを「東洋と西洋を結ぶ火」などとクーベルタン同様に礼賛しつつも、「これがナチスのはじめた行事であるなしにかかわりなく」と、歴史的事実を理解したうえでの留保表現をせざるを得なかった。
スポーツライターでもあるシングラー氏は「人権と共存する五輪なら歓迎したい」という立場だが、「2020年東京五輪」だけでなく、この数十年の五輪が、土建企業や巨大広告会社が儲かる利権構造、テロ対策を理由にした監視社会化や野宿者の排除・追い出しなどで、「ますます民主主義への脅威となっている」と批判する。安倍晋三前首相による、国際五輪委員会(IOC)総会での福島原発事故の「アンダーコントロール」発言も、「明らかなウソとプロパガンダだが、IOC側も安倍さんにそういうウソを期待していた」という構造を強調する。
(本田雅和・編集部、2021年4月2日号)