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「ラムザイヤー論文騒動」の背景にある白人至上主義
小山 エミ|2021年4月22日4:34PM
また、沖縄の米軍基地反対運動への攻撃的な記述のある論文に関し、『沖縄タイムス』は2月28日の特集で、論文の内容と事実との対照表を掲載し多くの間違いを指摘した。さらに被差別部落民についての論文に関しては、ラムザイヤー氏が差別的な文献を多数引用しながら著しく事実に反する侮辱的な記述をしていると、3月8日に国際人権NGOの反差別国際運動(IMADR)が厳しく批判した。
米誌『ザ・ニューヨーカー』によると、ラムザイヤー氏は宣教師だった両親のもと高校まで日本で育った。ハーバード大学でのかれの肩書きは日本の三菱が寄付をしたことで作られた「三菱日本法学教授」(注)だ。また2018年に日本政府から旭日中綬章を授与されていることもあり、かれが日本企業や日本政府(特に当時の安倍政権)に「買われた」研究者であるという批判が、一部のメディアではみられた。
しかしラムザイヤー氏の学問的な業績をさらに詳しくみていくと、かれが日本企業や日本政府に買収されたわけではなく、かれ自身の政治主張・思想のためにこれらの問題のある論文を量産しているだろうことが推測できる。その背景には、米国における日本研究に伝統的にまとわりつく白人男性中心主義・白人至上主義、そしてそれに機会主義的に同調する日本の右派言説との共犯関係がある。
(注)寄付者の名前が付いた大学での肩書きは米国の大学では珍しくなく、その個人が直接の資金提供を受けていることを意味しない。