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「ラムザイヤー論文騒動」の背景にある白人至上主義

小山 エミ|2021年4月22日4:34PM

米国での批判を回避

2013年に米グレンデール市内の公園に設置された日本軍「慰安婦」を象徴する少女像。(撮影/小山エミ)

ラムザイヤー氏が日本の右派言説をコピーしたような差別的な論文を量産する動機は、昨年1月に発表された「下層階級における相互監視の理論」という論文によく現れている。この論文は、被差別部落・在日コリアン・沖縄を「下層階級」と呼び、「下層階級」の指導者たちが自らの暴力的あるいは恫喝的な行動によって差別を呼び寄せ、それを利用して助成金など「特権的」な扱いを受け、その「恩恵」の分配によって自分たちのコミュニティの成員たちをそうした構図に縛り付けていると説明している。集団の成員に分配される「恩恵」が、集団に属することによって受ける差別の損失を上回る限り、マイノリティたちは集団から離脱して「豊かな主流社会」に参加するインセンティヴを持たないのだとかれは主張している。

この理論に従うと、差別や貧困に苦しむマイノリティへの助成金の支給やその他の支援措置を取ることは、かえってかれらの指導者たちが仲間に分配できるリソースを増やし、相互監視を強化するので、かれらが主流社会に参加する機会を奪うことになる、となる。

つまり本当に差別をなくしたいならマイノリティへの支援を今すぐ打ち切れ、というのがラムザイヤー氏の結論だ。実際、18年に発表された「日本における最下層の政治と組織犯罪」という論文では、政府による同和対策事業の終了と組織犯罪への取り締まり強化によって被差別部落の貧困や孤立は解消に向かっていると論じている。

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