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砂川事件国賠訴訟で「調査嘱託」決定 
米国公文書めぐり開示手続き

片岡伸行|2021年4月27日5:33PM

報告集会で「調査嘱託」について語る原告の土屋源太郎さん(中央)ら。(撮影/片岡伸行)

砂川事件の最高裁判決(1959年12月)前に当時の最高裁長官が米国側に裁判情報を漏洩したのは憲法違反だとして、元被告人と遺族ら3人が起こした国家賠償請求訴訟の第4回口頭弁論が3月29日に開かれた。東京地裁(大嶋洋志裁判長)は漏洩の証拠となる米国の公文書について情報開示に向けた手続き(調査嘱託)に入ったことを明らかにした。

米国公文書館で機密指定解除され、2008年にジャーナリストらの手で発見された複数の公文書には、当時の田中耕太郎最高裁長官が、砂川事件の一方の当事者である米国の駐日大使らと密談し、「駐留米軍は違憲」とした伊達判決(東京地裁・伊達秋雄裁判長、59年3月)を覆す意図で「(争点を)法的問題に閉じ込める」などと発言したと記録されている。

裁判で原告側は、実際にこの公文書にある田中長官の発言通りに裁判が進み、日米安保条約が合憲か違憲かの判断はウヤムヤにされ「司法審査権の対象外」などという判決になったと主張。これに対して国側は、同文書の存在を一貫して「不知」として認めなかった。認めた途端、最高裁自らの違憲行為だけでなく、司法の独立性を踏みにじる日米両政府の企てが明白になるからだろう。

口頭弁論終了後の報告集会で、原告の土屋源太郎さんは、裁判所が調査嘱託を決めたことに喜びと驚きを示し「もし米公文書館がこれを認めたら大変なことになる」と、日米安保をめぐる歴史の闇に光が当てられることを期待した。弁護人の武内更一弁護士は今後の調査嘱託の流れを「地裁から高裁、そして最高裁、外務省、米大使館、米国務省を経て米公文書館にたどり着く」と説明。「どこかで流れが止まる懸念はあるが、そうならないよう多くの人に注視してほしい」などと述べた。第5回口頭弁論は6月30日、東京地裁103号法廷で開かれる。

(片岡伸行・記者、2021年4月9日号)

 

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