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「入管法改正案」は廃案に!──まずは死亡事件解明のためのビデオ開示を

階猛×中島岳志|2021年4月28日5:41PM

中島岳志
なかじま たけし・東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授、本誌編集委員。1975年、大阪府生まれ。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。北海道大学大学院准教授を経て、16年から東工大へ。著書に『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(2005年、白水社)、『「リベラル保守」宣言』(13年、新潮社)、『自分ごとの政治学』(20年、NHK出版)など。

 確かに、この医師は「診療情報提供書」に「詐病の可能性もある」とも書いていますが、23日の共同通信の報道で、入管側が医師への「診察依頼書」の中で、ウィシュマさんに詐病などの疑いがあると誘導するような言及をしていたことも判明しました。すでに診療情報提供書は私自身も内容を確認し、診察依頼書の内容についてもこれから開示を受ける予定です。

ウィシュマさんは親日家で、日本の子どもたちに英語を教えたいと来日したと聞きました。朝のテレビ番組でウィッキーさんというスリランカの男性が、1990年代まで15年ほど英会話を教えていて、私自身、それが好きで見ていたことを思い出します。ウィシュマさんも元気でいれば、絶対に日本で活躍していただろうなと思います。

当初は留学生として日本にいましたが、さまざまな事情からオーバーステイになり、入管に収容される前は、パートナーからDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けていたようです。ただでさえ傷ついている人を入管は収容してまた酷な目に合わせ、最終的に亡くなってしまった。ウィシュマさんの健康状態を考えれば、本来ならば仮放免されるべきでした。

こうした問題を入管側は省みることなく、むしろもみ消しに走った。それが腹立たしい。「森友問題」の時にも、決裁文書を改竄させられ、元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんが自殺に追い込まれた。政府の隠蔽体質の犠牲になってきた人たちの無念に応えなきゃいけないと思います。

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