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「入管法改正案」は廃案に!──まずは死亡事件解明のためのビデオ開示を

階猛×中島岳志|2021年4月28日5:41PM

 人権よりも、国益が重視されるという構造は、特に難民問題では明白に見て取れると思います。

中島 今回の入管法改正案の大きな問題のもうひとつは、難民申請をできるのが実質2回で、3回を超えると、基本的には「送還停止効」(難民申請中の強制送還を禁止する規定)の対象外になるという部分です。在留資格のない人の帰国を徹底させるという方針に基づいていると思うんですが、これも明らかな人権問題です。

疑問なのは、管理・摘発をする部門と保護・支援をする部門が入管に一極化されているという二重性の問題があることです。組織論としても、この問題はしっかり考えていかなくてはいけない。

 そもそも入管法は、「出入国管理及び難民認定法」といって、出入国管理と難民保護を同時に定めていますしね。19年に入国管理局から庁に格上げされた入管庁も、出入国在留管理庁といって、管理だけではなく「在留」という名前もつけられています。当時、「特定技能」という在留資格を新設して外国人を多く受け入れていくという中で、今までの管理だけではなく、日本社会で日本人との共生を円滑に進めるという意味で、在留という言葉もつけられたという経緯があります。

入国管理局は管理する立場で外国人を性悪説にたって処遇してきたところであるのに、共生社会をつくるという仕事ができるわけがないだろうと、当時野党の立場で批判したことも覚えています。趣旨に合わない共生ということまで入管庁がやろうとするから、難民認定制度の運用がめちゃくちゃになっているという側面があるのではないかと思います。

技能実習生や特定技能外国人についても、人手が足りないからといって、一方ではどんどん入れておきながら、使えなくなればすぐ本国に返すか、あるいは収容するという日本のやり方はきわめて勝手で、非常に恥ずかしいです。

中島 例えば、ベトナムの若い実習生たちが40代、50代になった時、日本に対してひどいイメージばかりが固着してしまっているかもしれません。長期的に考えても国益にならないですし、大きな問題があると思います。

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