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脚本界の三巨頭
小室等|2021年5月2日3:31PM
七〇年代、僕たちはいつしかシンガーソングライターと呼ばれて今に。そんな仲間うちで、歌う以外の仕事、テレビドラマの音楽をやったのは僕が一番多いと思う。
一九七二年、TBS系列テレビ小説「吉井川」を皮切りに、二〇〇八年のテレビ長崎(フジテレビ系列)「月の光」(脚本/市川森一)までで通算、多分三一本。
出会った脚本家がすごい。「吉井川」の翌年、二本目の依頼は渡辺淳一の小説『無影燈』をドラマ化した「白い影」。脚本は倉本聰さん。ね、すごいでしょ。しかも高視聴率(近年、中居正広主演でリメイクされたが、一作目の田宮二郎にはおよばず?)。
そして七六年の五本目が「高原へいらっしゃい」で山田太一さん。主演は田宮二郎さん。八二年の九本目「淋しいのはお前だけじゃない」は市川森一さん。自慢を続ければ、倉本、山田、市川という脚本界の三巨頭と仕事ができたなんて、なんと幸運なことか。しかも市川さんは三回、山田さんとは八回もご一緒できた。
ドラマの音楽は、本当に闇雲だった。見よう見真似のその闇雲に、ある日晴れ間がかかった。そうだ、僕が用意したつたない音符のテキストを、僕が指名した演奏家に、必要とされるシーンとシチュエーションをインフォメーションすれば、僕のほしい音を出してくれる。例を挙げよう。