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自浄作用なき自民に対する公明の使命

佐藤甲一|2021年5月3日5:05PM

東日本大震災から10年が経過した。震災当日の3月11日は、参議院予算委員会で前原誠司外相(当時)に対する外国籍の後援者からの寄付について、政治資金規正法違反ではないか、とする自民党の執拗な追及が続いていた。

M9という巨大な地震とそれによって引き起こされた津波災害により、国会審議は中断となり、前原氏は「九死に一生を得た」形になったが、それは今思えば目先の「僥倖」だった。政権を持つ民主党にとり、この未み曾ぞ有うの事態は国家の危機であり、普通なら政権維持の求心力になりうるのだが、真逆に作用した。

東京電力に直接乗り込むなど、福島第一原子力発電所の被災への対応のまずさが、菅直人首相の宰相としての器量に疑問を抱かせ、政権の危機管理能力のみならず民主党の政権担当能力すら疑わせる結果となった。

それから10年、日本の政治はすっかり「骨抜き」になった。安倍晋三前首相がその後自民党総裁になり、7年8カ月にわたって長期政権を維持できたのは、その多くの原因は民主党が内紛により回復不能なくらい国民の信を失うとともに、またその教訓を自民党が忠実に守り、首相批判を必要以上に避けてきたことにある。

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