コロナ禍のいま求められる金融政策とは
浜矩子|2021年5月4日3:43PM
ポリシーミックス(policy mix)という言葉がある。読んで字のごとしだ。政策の組み合わせである。経済用語として定着している。
だが、実はここでミックスという表現を使うことには、問題があるかもしれない。なぜなら、ミックスという言葉には「混乱」のニュアンスが伴うからだ。
“mixed up”といえば、何かと何かが混同されているという意味に取れる。”He is all mixed up”といえば、「あいつ、完全に頭が混乱してやがる」という雰囲気だ。ミックス・ジュースにもミックス・フライにも、相性というものがある。馴染みが悪かったり、お互いに風味を打ち消し合ってしまうものをミックスされてはたまらない。
ポリシーすなわち政策が何かと何かを混同したり、混乱に陥ったりするようでは困る。お互いに効果を相殺し合ったり、変な味が出てしまって経済活動を失調させることは許されない。だから、ポリシーミックスという言い方は再考を要するかもしれない。
こんなことに思いが及んだのは、おっかなびっくりながら、国々の経済が新型コロナのパンデミックから立ち直る兆しを示し始めているからだ。この展開に対する財政政策と金融政策のポリシーミックスが、どこでも、何ともギクシャクしている。”mixed up”の感が強い。