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差別容認する永田町ムラの責任は記者にもある
長谷川綾|2021年5月4日2:06PM
中でも深刻なのは、麻生氏本人は国会答弁で否定しているが、故・野中広務・元自民党幹事長の出自についての発言だ。野中氏が辛淑玉氏との対談集『差別と日本人』(角川書店、09年)で語ったところによると、麻生氏は01年3月12日、派閥の会合で「野中やらAやらBは部落の人間だ。だからあんなのが総理になってどうするんだい。ワッハッハッハ」と述べたという。
当時、野中氏は総裁候補の一人だった。この問題は04年に、ジャーナリスト魚住昭氏が『野中広務 差別と権力』(講談社)で取り上げ、03年の自民党総務会で野中氏が「絶対に許さん」と麻生氏を面罵したエピソードとともに広く知れ渡っていた。
発言が事実なら、政治家の資質が問われるが、麻生氏は08年に首相になり、安倍首相の再登板を支え、戦後最長3000日在任の財務相となった。
私には、痛恨の取材がある。自民党のある派閥での昼の記者懇談会。中華料理の円卓を囲み酒も多少入った。同じ卓にいた領袖が茶色のビール瓶を指してこう言った。「オバマ大統領はこんな色だった」。聞き間違いかと思ったが、彼はもう一度同じ言葉を繰り返した。