「人権後進国」可視化したウィシュマさんの死
望月衣塑子|2021年5月6日4:30PM
これらの事態を受け、政府が今国会で審議入りを目指す入管法改正案では、長期収容化の解決を目的にあげる。だが実態は、入管庁にさらなる裁量を与える「改悪法案」だ。
難民認定を3回以上申請した人には原則、送還停止を認めない。同時に、送還を拒否した場合に処罰する「送還忌避罪」を創設する。また、弁護士や支援者らが仮放免後の受け皿を担う「監理措置制度」も用意するが、元収容者が逃亡したり就労許可なく働いたりした場合、監理者も元収容者も罰則を適用される内容だ。
指宿昭一弁護士は「入管が監理をより強化できる制度。誤った対応で死者を出しながら、制度の改善ではなく、組織の『焼け太り』を狙っている。絶対に成立させてはならない」と批判する。
日本はいつまで「人権途上国」を続けるのだろうか。もはや、外国人の労働力と経済活動がなければ日本は立ち行かない。共生と人権擁護のビジョンを示せない菅政権が、自国民の人権を大切にするわけがない。
(望月衣塑子・『東京新聞』記者。2021年4月9日号)