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「大崎事件」第4次再審請求の現況を弁護士ら報告

片岡伸行|2021年5月7日1:30PM

司法記者クラブで会見する鴨志田祐美弁護士(中央)ら。(撮影/片岡伸行)

鹿児島県大崎町で1979年に当時42歳の男性の遺体が発見された「大崎事件」。その4度目の再審請求(昨年3月30日)申し立てから1年が経過した。弁護団事務局長の鴨志田祐美弁護士らが3月25日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、鹿児島地裁での審理の経過などを報告した。

同事件で〝主犯〟とされた原口アヤ子さんは殺人罪などで10年間の服役後、審理のやり直しを求める再審請求を続けてきた。第3次請求では地裁、高裁支部が再審を認めたが、最高裁は2019年6月に再審開始を取り消し。現在、鹿児島地裁で審理が続いている。

鴨志田弁護士によると、昨年実施したクラウドファンディングで1241万7000円の支援金が寄せられ、これを元に映画監督・周防正行さんの協力で「被害男性」の自転車転落事故などの実写再現映像を制作。昨年10月にはその再現実験に鹿児島地裁の裁判官が立ち会った。今年1月には「被害男性」を軽トラックで自宅まで運んだ男性2人の供述を鑑定した鑑定者3人の尋問を実施した。

会見に同席した周防監督は「運んだ2人の供述をもとに、どういうことが行なわれたのかをなるべくリアルに再現したが、これを見れば検察官もこの供述はおかしいと感じるはず」。同事件の3DCGアニメの制作を担当した亀石倫子弁護士も「映像にしてみると供述の矛盾がよくわかる」と述べた。また、鴨志田弁護士は発刊されたばかりの自著『大崎事件と私?アヤ子と祐美の40年』(LABO)にも触れ、「アヤ子さんはまもなく94歳。証拠が隠され、検察の抗告が繰り返されることで長期にわたる再審制度自体が問題。これを変えなければ冤罪の救済はできない」と強調した。

6月には「被害男性」の死因が窒息死ではないとの鑑定書を作成した澤野誠医師の尋問が予定され、審理はいよいよ大詰めとなる。

(片岡伸行・記者、2021年4月16日号)

 

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