「戦没者遺骨で新基地作るな!」
沖縄大学生らが政府へ憤り
西尾慧吾|2021年5月13日5:58PM
沖縄本島南部の旧激戦地から採取した、戦没者遺骨を多く含む土砂を、国が進める米軍・辺野古新基地建設に使おうという防衛省の計画に対し、若者も抗議に立ち上がっている。沖縄県内では遺骨収集ボランティアがハンガーストライキを断行するなど反対運動は活発化しているが、日本全体での関心はまだ低いことに危機感を抱いた筆者らは4月12日、「遺骨で基地を作るな!緊急アクション!」を立ち上げ、13日には大学生3人でオンライン記者会見を開いた。
呼びかけの内容は、(1)日本政府・防衛省・沖縄防衛局に抗議文を送る、(2)沖縄県知事に後押しのメッセージを送るなど。誰でもすぐに動けるよう、文例も添えた。
記者会見では、筆者と石川勇人、仲本和(ともに沖縄国際大学生)の3人の呼びかけ人が、アクションにかける思いを語った。筆者は「沖縄の人々を苛む問題に、日本全体が当事者意識を持って対峙すべきだ」と主張。戦没者の遺骨を用いて新たな戦争を生み出す基地を作るのは、人としての過ちだと考えるし、それに抗議する責任は、主権者一人ひとりが負うべきで、その責任まで沖縄に押しつけるのは日本社会の堕落だと思う。
沖縄戦の聞き取りや平和教育に励む石川、仲本の2人は、戦没者・遺族の尊厳を蹂躙する日本政府への憤りを強調。ハンスト現場を訪れた戦争体験者の証言も引き、戦没者・遺族の感情を第一に活動する決意を語るウチナーンチュ(沖縄人)の言葉に、身が引き締まる思いがした。会見後、私たちはホワイトハウスにメッセージを送ることも呼びかけに追加した。
(西尾慧吾・米イェール大学生、2021年4月23日号)
※沖縄県は4月16日、土砂採取業者に対し、現場が沖縄戦跡国定公園内であることから自然公園法に基づき「遺骨の入った土砂を採取しない」よう留意することなどを求めた通知を出し、業者の意見も聴いたうえで「措置命令」も検討している。採掘に反対する市民らは「中止命令」を求めていた。(編集部)