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厚労省、病床確保計画見直しも新型コロナ患者数急増で対応追いつかず

吉田啓志|2021年5月18日6:16PM

東京都千代田区霞が関の厚労省。(撮影/編集部)

新型コロナウイルス感染症の第4波が懸念される中、大都市圏を中心に入院病床の逼迫が一層深刻化してきた。医療崩壊の回避に向け、厚生労働省は各都道府県に一般医療の制限を含めた病床確保計画の見直しを通知。また一部の知事は改正感染症法に基づいて病院への患者受け入れ要請に踏み切った。しかし対応できる病院は限られ、少々ベッドを増やしても急増する感染者には追いつかない。

4月20日に三たび緊急事態宣言発出を国に要請した大阪府。21日時点で入院できない待機患者は2658人に及ぶ。第3波ピーク時の76%増で、東京都(21日時点で1166人)の2・3倍だ。3月半ばには30%台だった重症向け病床(約270病床)使用率は97%に達した。3月以降、待機中に自宅で死亡した人は9人。あふれる重症患者は軽症・中等症向け(約1800床)にも収容され、こちらも8割が埋まる。吉村洋文知事は19日、軽症・中等症用に1100床を確保するよう各医療機関に要請する方針を明らかにした。

これは2月に改正された感染症法に基づく措置。知事の権限を強化し、正当な理由なく拒否した医療機関には協力を勧告できるようにした。従わなければ名前も公表できる。第1号として15日に奈良県が要請し、同県では21日現在11病院で計33床を確保した。

ただ、全国約153万病床のうちコロナ患者を受け入れているのは2%に満たない。感染症専門医は極めて少ないうえ、重症者に使うECMO(体外式膜型人工肺)を1台操作するには臨床工学技士など含め10人近いスタッフを要する。中小病院にはハードルが高い。日本医師会の中川俊男会長は21日の記者会見で、これまでに2800床を確保したと強調し、「もっと確保せよと言われてもなかなか難しい。ゾーニング(コロナ患者の分離)が難しいなど正当な理由のある医療機関に、一般の医療を削減してコロナにしなさいよとはできないし、それはしてはいけない。通常医療が破綻したら元も子もない」と述べた。

実際、「官の圧力」と受け止める民間病院も多く、多くの知事は慎重だ。奈良県でも高圧的な手法は避けており、民間で新たに手を挙げたのは3病院にとどまる。大阪府も同様で、吉村知事は「すぐに確実に確保できるかどうかは極めて厳しい状況だ」と語る。

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