“犠牲の祭典”東京五輪
組織委がボランティアに「ユニフォームは自分で取りに来い」
片岡伸行|2021年5月28日12:59PM
新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、東京五輪の開催に突き進む日本政府に内外から批判が相次いでいるが、大会運営の担い手となるボランティアへの対応をめぐって、大会組織委員会(橋本聖子会長)のやり方にまた一つ新たな疑問の声が上がっている。全国約8万人のボランティアに「ユニフォームを自分で取りに来い」と半ば強制しているのだ。
〈東京2020大会で皆さんが活動する際に必要となるユニフォーム及びアクレディテーションカード等のご用意ができました。今回は、その受取に関するご連絡です〉
五輪ボランティアの運営事務局が全国で登録しているボランティアの人に連絡メールを送付したのは三度目の緊急事態宣言が発せられる前の4月20日頃。ユニフォームやアクレディテーションカード(資格認定証)ができたので、所定の場所まで各自受け取りに来るようにという内容である。
所定の場所とは、東京・六本木のTOKYO-UACビル(元ホテルオークラ東京別館)をはじめ、北海道札幌市、宮城県仙台市、福島県福島市、茨城県鹿島市、静岡県沼津市の全国6カ所。受け取り期間は5月12日から6月30日(パラリンピックのみは8月6日?19日)まで。
5月11日までの緊急事態宣言が20日間延長され、菅政権は「人流を減らす」ことに躍起だ。東京都の小池百合子知事もこの間、「東京に来ないで」「都県境は越えないで」などと憲法22条(居住・移転の自由)を無視するような訴えまでして「人の動き」を抑制しようとしているが、約8万人に〈公共交通機関等でご来場ください〉と呼びかける大会組織委のやり方は明らかにこれらと矛盾する。