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“犠牲の祭典”東京五輪 
組織委がボランティアに「ユニフォームは自分で取りに来い」

片岡伸行|2021年5月28日12:59PM

【「配送で済むのでは」】

ボランティア登録した人からは次のような疑問の声が上がる。

「わざわざ感染拡大中の東京に直接取りに行かなくても、書留で送るとかすれば配送で済むのでは」

その声を運営事務局にぶつけると、「身分証明書を提示してもらう必要があるので、郵送などは行なっておりません」と返答。緊急事態宣言下でのユニフォーム直接受け渡しを続行する方針だ。

前出のボランティアは「感染不安だけでなく、手間や負担もかかります。移動や接触をなくす方策があるはずですが、取りに行かないと辞退したとみなされる。このユニフォーム受け取り連絡の前にはボランティア活動日のシフトが一方的に送られてきました。朝早くか夜遅くまでの活動が多いのですが、それを承諾しないとやはり辞退したとみなされます。開催自体が危ぶまれているので、こうしてジワジワとボランティアの数を減らしたいのではないかと勘繰ってしまいます」と不審がる。

米紙『ニューヨークタイムズ』は5月2日付で、大会中に選手らと接触する可能性のあるボランティアへのワクチン接種の見通しが立っていないことなどを挙げて「ボランティアをコロナから守ることができるのか」と疑問を呈した。5月5日の『ワシントンポスト』電子版は日本政府に「中止の決断」を求めた。

大会組織委はこの間、日本看護協会に対し、五輪期間中に全国から「看護師500人」を動員するよう要請し「これまで以上に医療体制を疲弊させるつもりか」と批判を浴びているが、それに加え、大会中に無償で医療行為を行なう「医師(スポーツドクター)200人」も募集している。

しかし、今回の緊急事態宣言前の4月に実施した共同通信社の世論調査では7割超が「中止」「再延期」と回答。公益財団法人新聞通信調査会が3月に実施した米国、フランス、中国、韓国、タイの5カ国の世論調査でも「中止」「再延期」がすべての国で7割を超えた。現況は当時より悪化している。選手やボランティアらの命と健康を蔑ろにする”犠牲の祭典”は即刻中止すべきだろう。

(片岡伸行・記者、2021年5月14日号)

 

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