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「重要土地調査規制法案」審議入り
市民団体ら廃案求める
片岡伸行|2021年5月31日1:54PM
「これは日本が戦争をするための法律」「廃案以外にない」。5月11日に衆議院本会議で審議入りした「重要土地調査規制法案」に関し、反対する各市民団体代表らが同日記者会見を開き「憲法と国際人権規約に反する」として撤回・廃案を求める緊急声明を出した。
安全保障上重要とされる施設周辺の土地・建物の所有者や利用者を調査・監視し、土地・建物の取引や利用を規制。従わなければ罰則を科す――というのが同法案の趣旨。ただ、指定される区域や施設が明示されておらず、調査対象となる個人についてもどのような情報が収集されるのかが明確ではない。菅政権が3月26日にこれを閣議決定すると、NGO(非政府組織)や市民団体から反対声明が相次ぎ、5月9日時点でその数は175団体に上っている。
東京都内で開かれた緊急会見には、海渡雄一さん(共謀罪対策弁護団・秘密保護法対策弁護団)、金竜介さん(自由法曹団)、竹内広人さん(平和フォーラム)、大仲尊さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)、それに沖縄からオンラインで奥間政則さん(沖縄ドローンプロジェクト)、清水早子さん(ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会)が参加した。
弁護士の海渡さんは法案の具体的な問題点を指摘しつつ、「刑罰の要件が明示されておらず、刑事法の基本原則すら満たしていない。隣人や友人に情報提供を義務づけており、”密告社会”になる。『重要施設』には基地だけでなく原発なども含まれ、市民による調査・監視活動も規制の対象となる恐れがある。戦前の要塞地帯法の再来だ」などと批判した。
同じく弁護士の金さんは「法案の根底に流れるのは、市民運動をする者は国益を害する者だというもの。外国人も敵対する人間として監視対象にされるだろう」と指摘。竹内さんは「そもそもコロナ禍の緊急事態宣言下、このような不要不急の法案を審議すべきでない。弾圧に口実を与える憲法違反の法案」とし、いずれも「廃案にしなければならない」と訴えた。
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