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「LGBTは種の保存に背く」
相次ぐ自民党議員の差別発言の背景は
松岡宗嗣|2021年6月8日12:27PM
【背景にSNS上での言説も】
山谷発言の背景の一つに、近年SNS上でトランスジェンダーへのバッシングが激化していることがある。「女性スペース利用が性暴力に繋がる」など、トランスジェンダー女性とシスジェンダー(出生時に割り当てられた性別に違和感がない)女性の権利が衝突しているかのように見せかけ、前者を排除しようとする言説だ。
自民党LGBT特命委員会のアドバイザーである繁内幸治氏(一般社団法人LGBT理解増進会代表理事)は今年3月末に開かれた同党女性議員の会合で、「性自認」という概念に関して「自分が今日から女性だと言えば女湯に入れるようになる」「女性を危険にさらす」などとトランス嫌悪を助長する発言をした。自民党が提唱する「性同一性」も「性自認」も、どちらもジェンダーアイデンティティの訳語で意味は同じだ。にもかかわらず実態から乖離した言説を流布するプロパガンダ的手法は、1990年代後半以降に起きたジェンダーバックラッシュの時と重なる。性教育やジェンダーフリーへのバッシングを主導してきた山谷氏が、これらの発言を利用してトランスジェンダーを排除する考えを露わにしたと言える。
差別発言に抗議するため、筆者が中心となってウェブサイトの「change.org」で5月20日夜に立ち上げた署名には23日時点で8万筆を超える賛同が集まっている。OECD諸国における性的マイノリティに関する法整備状況で、日本は現在ワースト2位。「生産性」発言の杉田氏のみならず、昨年9月には東京都足立区の自民党区議会議員・白石正輝氏が同性愛が広がると「足立区が滅びる」と発言するなど、自民党議員の差別発言は後を絶たない。このような自民党議員の認識こそが、差別を解消するための法律が必要な立法事実だと言えるだろう。
(松岡宗嗣・一般社団法人fair代表理事、2021年5月28日号)