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東京五輪中止署名に42万人
呼びかけ人・宇都宮健児氏に聞く
2021年6月11日4:46PM
開幕まで50日を切った東京五輪・パラリンピックだが、日増しに開催に反対する声が高まっている。5月5日から「Change.org」で始まった開催中止を求める署名の賛同者は42万人を超えた。署名発起人の宇都宮健児さんにその思いを聞いた。
――署名を始められた経緯を教えてください。
コロナ禍の中で仕事や住まいを失って生活が困窮している人々がいます。今年のゴールデンウィークに反貧困ネットワークの活動の一環で東京・四谷の聖イグナチオ教会にて「大人食堂」をやりましたが、650人を超える生活困窮者が集まりました。そこで子連れの親子や若い人たちが食料や日用品の支援を求める現実を目の当たりにしました。政府は生活困窮者に対して昨年4月の特別定額給付金以降、直接的な支援を行なっておりません。そのため失業者が増え、教育を受けられない子どもたちも出てきています。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により全国的に医療が逼迫しております。緊急事態宣言下で、病床不足のために入院できず、自宅で待機、療養している間に亡くなるひとが増えてきました。今年の1月から5月中旬までに、14都道府県で少なくとも78人の方が自宅や宿泊療養中に亡くなっています。医療が逼迫していなければ救えた命があったかもしれません。
にもかかわらず、五輪開催の名の下に、貴重な医療資源や莫大な財源が、東京五輪に割かれようとしています。もうこれ以上五輪のために貴重な医療資源や財源を使うべきではない。その思いから開催中止を求める署名活動を開始しました。
【世論を具体化する運動】
――オンラインでの署名活動はコロナ下ならではですね。
世論を調べると、7割から8割が東京五輪の中止や延期を求めていました。
しかしコロナ下で、密になりやすいデモなどは制限されますので、その世論を具体化する運動がなかったわけです。
私は昨年7月の東京都知事選に出馬しました。コロナ下ということもあり、ネットを駆使した選挙活動を必然的に重視せざるを得なかったのです。そのときのノウハウが今回の署名活動に役立ちました。
――署名開始3日目で20万人を超えたのは「Change.org」日本版史上最速とのことです。海外でも大きく報じられています。
現在までに35社の取材を受けましたが、そのうちの3分の2が海外メディアなのです。
ノルウェーやスウェーデンといった北欧からアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスのメディアまで世界各国から取材が殺到しました。アジアでは韓国のKBSやSBS、あとはシンガポールや香港のテレビ局です。
海外メディアの論調は、基本的にコロナ禍の中での五輪開催に否定的です。ですから反対署名に関心を示したのでしょう。
国内メディアではスポーツ紙が積極的に何度も取材してきました。あとは『東京新聞』などで大きく取り上げられました。
――『東京新聞』や一部地方紙は社説などで五輪中止を掲げるようになりました。
『信濃毎日新聞』(5月23日付)や『西日本新聞』(5月25日付)が社説で五輪中止を強く掲げました。
『朝日新聞』(5月26日付)も五輪スポンサー企業で、はじめて中止を求めましたが、まだまだ物足りないですね。
『朝日』、『読売』、『毎日』、『産経』、『日経』などは五輪のスポンサー企業になっていますから、その影響はあるでしょう。運営側を厳しくチェックしなければならない立場のメディアがその賛同者になるのは禁じ手です。非常に問題があります。
比較的そのことが関係ない地方紙やスポーツ新聞などは忖度のない紙面展開をしています。