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マイナンバー違憲訴訟、東京での控訴審がスタート
稲垣美穂子|2021年6月21日6:25PM
マイナンバー制度は憲法13条が保障するプライバシー権を侵害するとして2015年以降、全国の8地裁(東京、仙台、新潟、金沢、大阪、神奈川、名古屋、福岡)で違憲訴訟が行なわれてきた。原告らは、本人の同意なしに個人番号を含む個人情報の収集・保存・利用・提供をすることの禁止や損害賠償などを求めている。だが地裁判決のほとんどが、番号制度の目的は正当であり正当な目的を逸脱して個人情報が「みだりに開示、公表」される具体的な恐れはないとして請求を棄却した。
東京では5月31日に控訴審の第1回口頭弁論が東京高裁で開かれた。原告側は代理人の水永誠二弁護士が「さまざまな個人情報の収集によるデータマッチングが行なわれる危険性がある。単に第三者へ情報が開示・公表されるか否かだけに終始してしまうと、この問題の本質は掴めない」と主張。そのうえで「プロファイリングの危険性防止のための基準について、控訴審では判断を求めていく」と述べた。
「共通番号いらないネット」の原田富弘さんは、預貯金口座にマイナンバーを紐づけることについて「特定個人情報保護評価を当然やらなくてはいけないのに国は『事後でいい』とし、個人情報保護委員会もそれを追認している。国が保護措置として強調してきた第三者機関としての機能を果たせていない」と指摘。
マイナンバーの普及を進めたい政府は新型コロナウイルスワクチン接種と関連付けたシステムを構築しようとしているが「国が必要とするワクチン接種記録はマイナンバーを使用せずとも各自治体が保有する従来のワクチン接種台帳で構築可能」だと、元国立市長の関口博さん(現・同市議)は陳述した。次回弁論は9月8日、また神奈川訴訟控訴審第2回弁論も7月2日、ともに東京高裁で午前11時からの予定だ。
(稲垣美穂子・フリーランスライター、2021年6月11日号)
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