沖縄県警が米軍抗議の蝶類研究者を家宅捜索
澤井正子|2021年6月22日4:21PM
【蝶類研究者を見せしめ?】
やんばるの森の奥の「米軍廃棄物」の存在について、返還地の8割(国有地)を管轄する沖縄森林管理署(林野庁)は「世界自然遺産」勧告のためのIUCNの現地調査でも「バレない!」と確信をもっていたのだろうか? 返還地は18年6月に推薦地へ編入され、政府は19年2月ユネスコに「推薦書」を再提出した。
宮城さんは、米軍によるやんばるの自然破壊と、日本政府によるこの地域の世界自然遺産推薦の不自然さをさまざまな形(拾得物の届け出、ブログ、講演会、自然観察会、裁判での証言等)で訴え続けてきた。「米軍廃棄物を完璧に除去し、原状回復をはかり、本当の『自然保護』をしてから、堂々と申請すればよいではないか?」と。蝶類研究者の当然の思いだ。前のめりに「世界自然遺産」を目指すのではなく、誰がどのようにやんばるの森を守ってゆくのか、ジックリみんなに考えてほしいのだ。
今年5月、報道各社は一斉に「奄美・沖縄」の「世界自然遺産」登録を報じた(7月正式決定の予定)。貴重な動植物の宝庫であり生物多様性に富んでいることが評価されている。しかし「米軍有害ゴミ撤去」は終了し「外来種除去」も整ったとするなど、一度頓挫した「世界遺産登録」のため重ねられた努力を美化する内容ばかりだ。しかも登録勧告の『評価書』に「米軍廃棄物」への言及は一言もない。膨大な「米軍廃棄物」を置き去りにしたままの「世界自然遺産」である。やんばるの森の本当の主たち、生物多様性の生き証人たちにとって、誰が本当の味方なのか、語るまでもない。
蝶類研究者を見せしめ的に家宅捜索し取り調べを行なって、国は宮城さんの調査・発信を少しでも抑えたかった? しかし目論見は完全に失敗している。この件ですっかりふっきれた宮城さんは、ますます元気にやんばるの森に入り、「米軍廃棄物」の調査・告発に邁進するだろう。詳しくは宮城さんのブログ「アキノ隊員の鱗翅体験」をぜひご覧いただきたい。
(澤井正子・沖縄一坪反戦地主会関東ブロック、2021年6月18日号)