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妨害にさらされる「表現の不自由展」 東京開催は延期に

岩本太郎|2021年6月25日7:52PM

開催続行を会見で宣言した主催者(左から岩崎貞明、岡本有佳、永田浩三の各氏)。(撮影/岩本太郎)

国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれた事件は記憶に新しい。その出展作品を公開する展示会を6月25日から開催する予定だった東京都・神楽坂のギャラリーが、会場の提供を取りやめる意向を8日に表明。主催者は会場を変更して開催する方針を10日に発表した。

理由は今回も妨害行為だ。主催者の「表現の不自由展・東京実行委員会」によると、開催を公表したのは6月3日。ギャラリーには翌4日より電話やメールによる攻撃が始まった。6日には6台の右翼の街宣車と10~20人ほどが周辺に現れて「反日展示会をやめろ!」などと大声で抗議。周辺は閑静な住宅街で、週末には地下の会場で子どもたちのバレエ発表会が予定されていたこともあり、困惑したギャラリーのオーナーが「身が持たない」と連絡。これを受けた実行委員会が9日、出展予定の作家(19年企画展で「平和の少女像」を出展したキム・ソギョンさん、キム・ウンソンさんら)とも協議し、前記の決定に至ったという。

実行委員の1人、編集者の岡本有佳さん(58歳)は会見で「ここで開催を中止するのは攻撃してきた側に『あいトリ』に続く成功体験を与えてしまう」と述べ、今回の決定はあくまで会場を変更しての「開催続行宣言」だと強調した。ただし同じく実行委員だったアライ=ヒロユキさん(美術・文化社会批評)は「展覧会の抜本的中止」を提案したものの受け入れられなかったとして、同委員を辞任したことを12日に自ら公表した。

代替会場は同日時点で未定だが候補地はすでにいくつか挙がっているという。同日までに600を超える参加の申し込みを得ていると言い「ぜひ観に来てください」と岡本さんは訴えた。今後の会場や主催者への度を超えた攻撃には法的手段を検討しているという。

(岩本太郎・編集部、2021年6月18日号)

追記:その後、東京実行委員会は新たな会場の目途が立たないとして、25日からの開幕を当面延期することを24日に発表した。

 

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