「日隅一雄・情報流通促進賞2021大賞」に野池元基さん
本田雅和|2021年6月29日8:17PM
大手広告代理店・電通が東京電力福島第一原発事故の直後から国と協力し、新たな「安全神話」づくりに邁進していたことを本誌2020年11月13日号などで特報したミニコミ誌発行人の野池元基さん(63歳)=長野市在住=が6月12日、「日隅一雄・情報流通促進賞2021大賞」を受賞した。
原発事故後の記者会見に通い続けた故・日隅一雄弁護士(12年6月死去、当時49歳)が東電や国による情報隠蔽や虚偽発表を追及してきた功績を称え、有志が発足させた日隅基金が、13年から情報公開や内部告発などで民主主義の発展に貢献した個人・団体を大賞(副賞50万円)や奨励賞(副賞30万円)などで表彰してきた。
野池さんは同日、オンラインで行なわれた表彰式で、きっかけは福島県伊達市の「心の除染」事業に疑問を感じたことだったと説明。18年秋から伊達市や福島県、環境省、経済産業省などに電通や関連企業との契約書などの情報公開請求を続け、電通の「事業費中抜き」や「下請け丸投げ」の実態を浮き彫りにしてきた。
放射能による健康被害を過小評価する学者の権威を借り、多額の血税を投入した原発推進キャンペーンのからくりを暴いた野池さんの企画は、まずは地元信州で発行しているミニコミ誌『たあくらたあ』の中で立ち上げられたという。
そのうえで「私個人でいただいた賞というよりも、この雑誌も原稿料なしで無償協力して下さった皆さんのおかげで続いてきた。光栄に思うとともに身が引き締まる思い。今後は福島の方々と電通世論操作研究会を発足させ、賞金はその活動に活用したい」と語った。
大賞のほか奨励賞には、やはり本誌でいち早く報道してきた、沖縄・辺野古への米軍新基地建設地に戦没者遺骨を含む土砂を投入しようとする計画を阻止する運動を現地から発信している具志堅隆松さん(67歳)ら2人に決まった。
(本田雅和・編集部、2021年6月18日号)