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女性参政権行使75周年イベント
増やそう、女性議員!
宮本有紀|2021年7月2日10:32PM
1946年4月10日は、日本の女性が初めて参政権を行使した日だ。衆議院議員選挙で約1380万人の女性が投票し、39人の女性議員が誕生した。この日を記念してオンラインイベント「増やそう、女性議員! つなげよう、女性のチカラ!」(主催:パリテ・キャンペーン実行委員会、ウィメンズネットワーク・アクション)が4月10日に行なわれ、約4時間かけて6セッションを実施。各党の議員やジェンダー平等を目指す市民らが語り合った。
現在、日本の女性議員比率は衆議院9・9%で参議院22・9%。衆議院は75年前の総選挙で誕生した女性議員比率8・4%と大して違わない。増えない理由について、〈女性議員と語る「どうやって女性を増やすか?」〉セッションで議員らが率直に語った。
伊藤孝恵議員(国民民主)が、「女性が政治家になる時の五つの壁」として、「志を立てる壁(女が政治家なんてという偏見や育児・介護で時間がとれないなど)、候補者になる壁(相手が男性だからなど「女刺客」みたいな使われ方をする)、選挙の壁(朝から晩まで駅に立てと言われるなど)、(家庭との)両立の壁、継続の壁がある」と端的に指摘。他党の議員らも同意し、議員になってから結婚・出産した吉良よし子議員(共産)や佐々木さやか議員(公明)は、出産・育児をしながらの議員活動には環境整備が必要と話した。
尾辻かな子議員(立憲民主)は「私自身は同性愛者。過半数を取らなければいけない衆議院小選挙区で、マイノリティであることはマイナスに評価され、選挙区が決まらない。あなたは勝てる候補じゃないと言われた」と体験を語り「小選挙区制では女性候補者を増やすのは難しい。比例で女性枠をつくるなどしないと増えないと思う」と選挙制度改革も提案。伊藤議員が「クオータ制に反発が多いのも承知しているが私は大賛成。恒久法が嫌なら時限立法でもいい」と述べると、木村やよい議員(自民)も「時限立法でもいいからクオータ制をやってみるというのに賛成」と述べた。
〈クオータはなぜ必要か? 候補者男女均等法の改正を目指して〉セッションでは、2018年に全会一致で成立した候補者男女均等法の強化・改正について議論。同法を推進した「政治分野における女性の活躍と参画を推進する議員連盟(超党派議連)」の中川正春会長(立憲民主)は、「法が成立して3年経っても、国会も地方議会も女性議員は思ったより増えていない」として、現在努力目標である女性候補者の数値目標を義務化することや、クォーター制導入の必要性を訴えた。
与党からは中野洋昌議員(公明)が「次の衆院選の候補擁立はかなり進んでいるので、その次の総選挙に向けて数値目標設定を検討できないかと党の女性委員会で話していると思う。地方議員も含め党の議員は約3割が女性。党役員は約2割。議員の女性割合、役員の女性割合を高めるよう党にも訴えていかなければと考えている。やはり女性の議員が増えると、生理の貧困など女性目線の政策立案が非常に進みやすくなる」と発言。稲田朋美議員(自民)は「党内の議連、女性議員飛躍の会で女性候補者を増やすための提言をしている。11ブロック中の3ブロックで比例1位の女性枠をつくる、惜敗率で決まった後の比例枠に女性をできるだけ多く登用する、候補が決まっていない空白区に女性を登用する、などだ。30年までに党の国会議員と地方議員の女性比率を3割にすることは下村博文選対委員長の時に打ち出されているが、党の方針にはなっていない。私たちは次の選挙で15%、次の次で20%と細かく数値目標を立てている」と前向きな姿勢を見せた。
超党派議連の矢田わか子事務局長(国民民主)は、「昨年7月から議連内のワーキングチームで議論を始め、今年3月に法文化して各党に投げている」として、候補者の数値目標の義務化や、家庭との両立支援など具体的な環境整備の明示、選挙時のハラスメント対策などについて議論中だと解説。女性候補者を多く擁立した党の助成金を増やすなど政党助成法の改正も一緒にやる案もでているとしつつ「各党で合意が得られる範囲に絞って今国会で改正案を通していきたい」と意気込みを語った。
司会の三浦まり上智大学教授はパリテ(男女同数)議会実現のための実効性ある制度にするためには「最大与党の自民党が数値目標を設けるかどうかが大きい」とし「各党の数値目標を義務化できるかが山場」と指摘した。
(宮本有紀・編集部、21年4月23日号)
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