旭川医大の『北海道新聞』記者常人逮捕に疑問の声噴出
徃住嘉文|2021年7月5日1:05PM
【取材は許可得てするものか】
新聞やテレビが警察発表をそのまま流しているのに対し、インターネット上などでは道内外の報道関係者が「逮捕は行き過ぎ」との批判や疑問の声を上げている。
警察情報に詳しい道内月刊誌『北方ジャーナル』の小笠原淳記者によると、同大では18日も、学内の同じ場所で開かれていた学長選考会議の取材を求める報道陣と大学当局者の間で対立があった。22日も各社記者が大学構内に集まったため、大学側は午後4時ごろになって「囲み取材を午後6時にする」と現場で説明。各社記者はいったん現場を離れたが、『北海道新聞』の記者は構内で取材を続けたという。
小笠原さんは「ジャーナリズムとしては当然の仕事をしていたのに、逮捕とは……」と嘆く。
元共同通信記者の澤康臣専修大学教授は今回の記者逮捕に関連してツイッターで、『北日本新聞』の記者たちが富山市議らの政務活動費の不正流用を暴き、市議辞職ドミノが起きた事件に言及。富山市議が「許可も受けずに取材しているくせに、何だっ」と記者からメモを取り上げたことが大きなきっかけになったことを説明している。
取材とは権力者の許可を得て行なうものではないのである。
人権侵害に当たるような取材手法でもないのに、記者が取材行為を理由に逮捕される事態を、民主社会で許していいのか。前線に立つ記者を守るべき道新の姿勢とともに、報道に何を期待するのか、市民の倫理観も問われている。
(徃住嘉文・報道人/本田雅和・編集部、2021年7月2日号)