辺野古の遺骨眠る土での基地建設に奈良県議会などが反対意見書
平野次郎|2021年7月9日8:46PM
沖縄・辺野古の米軍新基地建設地の埋め立てに、沖縄戦の激戦地だった本島南部の戦没者の遺骨が眠る土を使う計画に対し、本土の地方議会から反対する意見書が次々と出されている。各地の市民団体や自治体への取材などをもとに集計したところ、少なくとも5議会で可決していた。
7月2日、奈良県議会は政府に対し「沖縄戦戦没者の遺骨等を含む地域の土砂を基地建設の埋め立て等に使用しないよう求める意見書」を全会一致で可決。「南部一帯には本県出身者戦没者をはじめ多くの戦争犠牲者の人々が眠っている」と当事者意識に訴える。
石川県金沢市議会は6月21日、沖縄県外の地方議会では初めて同様の意見書を全会一致で可決した。超党派の議員が提案した意見書案に自民、公明が賛成した。
翌22日には大阪府茨木市議会が全会一致で、28日には同吹田市議会が賛成多数で同様の意見書を可決。東京都小金井市議会は「辺野古新基地建設の埋め立て等に使用しない」とし、他の地方議会にはない基地名を明示した意見書を25日に賛成多数(賛成11、反対1、退席11)で可決した。
一方、意見書を求める請願を審査した山形県鶴岡市議会は賛成少数で否決(7月1日)。石川県珠洲市議会(6月30日)と福岡県柳川市議会(25日)は継続審査とした。請願でなく陳情の場合、陳情書の写しを配布するだけで審査しない地方議会がほとんどだ。
こうした地方議会とは別に自治体議員が個々に連携して動いた。6月23日、36都道府県の地方議員や元議員計248人が「遺骨等を含む土砂を基地建設に使用しないよう求める要望書」を防衛省などに提出。各議会で議員提案による意見書採択に取り組むことなどを申し合わせた。呼びかけ人の山下慶喜・茨木市議は「大学生からの陳情を受け議員としてできることは何かと考えた。9月議会に向けて意見書採択の動きを広げていきたい」と話す。
(平野次郎・フリーライター、2021年7月9日号)