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脱原発首長会議、福島原発事故被災地で緊急声明
「汚染水の海洋放出断念せよ」
本田雅和|2021年7月30日7:53PM
【「風評被害」は責任転嫁】
首長会議世話人の一人、桜井勝延・元南相馬市長は「事故から1年後に入った第一原発構内は2、3号機近くでバスの中でさえ毎時1000マイクロシーベルトあったのが、昨日案内された構内では毎時82マイクロシーベルトだった。だいぶ下がったという感覚はあるが、政府が約束した追加被曝線量年間1ミリシーベルトに値するのは毎時0・23マイクロシーベルトだから、ぎょっとするような数値。汚染水問題は自分に関係ないと思っている人にとっては安全だという説をうのみにしがちかもしれないが、漁業者にとっては自分の人生をだめにしてしまうような大きな問題なのだ」と語った。
トリチウムの安全性については同会議事務局長の佐藤和雄・元東京都小金井市長が「大量に海洋放出されたカナダなどで住民に被害が出たとの報告もされており、漁業者の利害からだけで反対しているわけではなく、安全性についても疑念があるからこそ、陸上保管やモルタル固化などの代案を示している」と解説。遠藤さんら地元漁師は「本来、代案というのはわれわれ被害者が考えるべきではなく、加害者の国や東電が出すべきもの」と反発している。
会見で筆者が問うた「風評被害」に関する考え方についても佐藤事務局長は「放射性物質を環境中に拡散することで、影響やリスクは必ず存在する。原発事故により現在の状況を生み出した責任は政府と東電にある。『風評被害』というのは責任を他者に転嫁し、影響を懸念する人の口をふさぎ、健全な議論を封じる」とした。先崎千尋・元茨城県瓜連町長も「風評ではなく実害」とし、国・東電が示す「風評被害は東電が賠償する」という”カネで解決”の枠組みも「被害が救済されない可能性」を指摘した。
(本田雅和・編集部、2021年7月23日号)
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